問診のポイント
- 股関節をねじったりすると疼痛が増悪するか?(① ②)
- 足のかかとをたたいてみて股関節にひびかないか?(①)
- 動かしたときに音(轢音)などがしないか?(②)
- など
画像所見のポイント
- 骨折がないか?(①)
- 軟骨のすりへりなどの変形がないか?(②)
- MRIにて大腿骨頭の変化はないか?(③)
- など
各症状について
① 大腿骨頸部(転子部)骨折
高齢者が転倒することにより生じる骨折の中で、寝たきりになる原因となる一番頻度の高い骨折です。
片方の股関節の激痛で、歩けなくなることが多いですが、まれに軽微な場合は歩けたり、膝が痛いと訴えることがあり発見が遅れることもあるので、注意が必要です。
XPやMRIなどによって診断し、この骨折は、高齢者であっても積極的に手術加療が必要となる骨折です。

② 変形性股関節症
変形性股関節症は、関節軟骨がすり減るなど変化することで、股関節が破壊、変形する病気です。明らかな原因がないとされる場合は、加齢や体重の増加(一次性股関節症)が考えられますが、発育性股関節形成不全や臼蓋形成不全といった先天的な原因や後天性の疾病やけがが原因(二次性股関節症)の場合もあります。日本では後者が多く、その中でも女性の患者様の割合が高いです。
発症初期は、立ち上がりや歩き始めの際に股関節に痛みを感じるくらいですが、症状が進行すると関節の可動域に制限が見られるようになり、跛行や関節変化による脚長差などが現れるようになります。そのほかにも臀部や大腿、腰部にも痛みが出ることがあります。診断については、レントゲン撮影を行うことで判断できます。
③ (特発性)大腿骨頭壊死症

大腿骨の血流が何らかの原因で不足することで、大腿骨頭の骨組織が壊死状態になることを言います。原因としては、外傷性などの症候性と原因は不明とされていますが、薬剤(ステロイドの投与)やアルコールの大量摂取などとの関連性が指摘されている特発性の2つがあります。
特発性では、何の前触れもなく股関節痛に襲われますが、壊死が発生した時点では症状が出ることはありません。痛みが出る頃というのは、壊死が広範囲に生じたことで骨折もしくは圧潰することで現れます。なお症状が出るまでには数年かかることもあります。
初めの頃は2~3週間ほどで痛みは和らぐようになります。ただ進行すると持続して痛むようになり、足を外側に開いた状態する、あるいは内側にひねった状態にするといったことが、かなり制限されるようになります。片側のみの方もいれば、両側とも痛みが出る方もいます。なお、男性患者ではお酒を飲み過ぎる方が、女性患者ではステロイド剤を使用した方が多く発症していると言われています。 診断は主にMRIで行うことが多く。壊死の範囲が広い場合は、手術加療が必要となります。